フジクラコンポジット FUJIKURA COMPOSITES

電源なしで液体検知|バッテリーレス液体検知センサの原理と用途

電源なしで液体検知|バッテリーレス液体検知センサの原理と用途

お役立ちコラム

電源なしで液体検知|バッテリーレス液体検知センサの原理と用途

藤倉コンポジットでは、自己発電ができるバッテリーレスの「液体検知センサ」を開発。電源が確保できない遠隔地やインフラなど、これまで検知が難しかったさまざまな場所で活用が広がっています。また人手不足が進むなか、現場作業を効率化するIoTセンサとしても期待されています。

この記事では「バッテリーレス液体検知センサ」の原理と用途、IoT化の事例について解説します。

そもそも液体検知(漏液センサ)センサとは?

そもそも液体検知(漏液センサ)センサとは?

液体検知センサ(漏液センサ)は、その名の通り、水や液体を検出するセンサです。
産業用途では、工場をはじめ建築設備や医療現場など、さまざまな場所で液体検知センサが活用されています。また豪雨災害によるインフラの冠水検知や、洪水の監視など、私たちの暮らしの安全を守る重要な役割も担っています。

液体検知のあれこれ
液体検知のあれこれ
液体検知に使われるセンサには、液面の高さを計測する「レベルセンサ」や、流量を検知する「フローセンサ」など、さまざまな種類があります。これらのセンサと区別するため、水漏れや液漏れの検知に使われる液体検知センサは、「漏水センサ」や「漏液センサ」とも呼ばれます。

液体検知センサの種類

産業用途で使われる一般的な液体検知センサについて紹介します。

物理タイプ

物理タイプ

物理タイプは、振動の変化やフロートの動きを検知するセンサです。
粘度の高い液体や、粉体・粒体の検知にも使われます。
接触式のため異物がセンサに付着すると誤検知の原因となり、環境に合わせた選定が必要です。

センサの例
振動式センサ、フロートセンサ など
電気タイプ

電気タイプ

電気タイプは、液体の導電率や電気抵抗の変化を検知するセンサです。
異物がセンサに付着しても比較的安定して検知ができます。
油などの非導電性の液体の場合は、誘電率の差を検知する静電容量式が使われます。

センサの例
導電式センサ、静電容量式センサ など
光学タイプ

光学タイプ

光学タイプは、投光部から発した光の量や透過量を受光部で検知するセンサです。非接触式のため液体へのコンタミの心配がなく、酸・アルカリなどの腐食性液体の検知もできます。
液体の色や透過率によっては調整が難しい場合があります。

センサの例
光電式センサ、光学式センサ など

液体検知センサの課題は電源確保…

液体検知センサの課題は電源確保…

さまざまな種類がある液体検知センサですが、通常は外部電源を必要とするため、電源が確保できない場所での使用が難しいことが課題でした。またバッテリーを搭載する場合、電池交換の手間や環境汚染も考慮しなければなりません…
そこで開発されたのが、藤倉コンポジットの「バッテリーレス液体検知センサ」です。

遠隔地の冠水や設備の水漏れ検知の需要が増えており、電源不要の液体検知センサのニーズが高まっています
特に最近では、豪雨災害の増加やメンテナンス作業員の人手不足も問題に...
遠隔地の冠水や設備の水漏れ検知の需要が増えており、電源不要の液体検知センサのニーズが高まっています!

水で発電する液体検知センサで、電源確保の課題を解決

藤倉コンポジットの小型医療用逆止弁について

藤倉コンポジットのバッテリーレス液体検知センサは、電源不要の自己発電タイプのセンサです。
センサに液体が触れると自己発電し、その電力で信号を発信。水や液体の漏れをいち早く知らせることができます。

メンテナンスコストを大幅に削減
バッテリーレス液体検知センサは、取扱いが簡単な低コストのディスポーザブル(使い捨て)製品です。※お客様の仕様次第ではリユースタイプもご相談可能です。
生産ラインへの組み込み含め、設備保全や安全対策に利用することで、メンテナンスコストを大幅に削減することができます。

マグネシウム空気電池による発電原理

バッテリーレス液体検知センサの検知の仕組みは、マグネシウム空気電池の原理を応用しています。

〈待機時〉
マグネシウム空気電池による発電原理〈待機時〉

〈水漏れ発生時〉
マグネシウム空気電池による発電原理〈水漏れ発生時〉

① セパレータが水を吸収
② 吸収した液体が電解質となり、正極と負極との間にイオンの移動が発生し発電
③ 発電した電力を使い、音や光、無線などで外部へ発信

クラウド経由でスマホやパソコンへメール通知を送ることも可能
数滴の液体で、BLE(Bluetooth Low Energy)や、省電力かつ長距離の無線通信が可能なLPWAデバイスを駆動し、クラウド経由でスマホやパソコンへメール通知を送ることも可能です。

マグネシウム空気電池の開発経緯

藤倉コンポジットのマグネシウム空気電池技術の開発は、2011年3月11日、東日本大震災での自社工場の被災からはじまりました。
当時、福島県南相馬市にあった工場では、家族と共に避難所生活を送ることになった社員もおり、その時の経験をもとに「水だけで発電できる非常用電池」の研究がスタートしたのです。

〈開発実績〉

非常用マグネシウム空気電池〈WattSatt〉

2016年

災害備蓄用の「非常用マグネシウム空気電池〈WattSatt〉」を開発

アクアチャージ<

2019年

家庭用のモバイル充電向けに改良した「アクアチャージ」を開発

バッテリーレス液体検知センサは、これまで災害備蓄品の技術開発で培った、高い安全性と信頼性を兼ね備えています。発電時にガスが発生しないため屋内でも安心して使うことができ、長期間の待機でも劣化がほとんどありません。

バッテリーレス液体検知センサの用途例

工場での用途例

工場での用途例

工場における漏液を早期に検知し、ライン停止を最小限に抑えます。
電源不要で既存の設備に簡単に後付けできるため、設備保全に最適です。

センサの用途例
- タンクやポンプの液漏れ検知
- 配管やパイプ継手の液漏れ検知
- 装置の老朽化による液漏れ検知
- 電源が確保できない遠隔設備の液漏れ検知
建築設備での用途例

建築設備での用途例

建築設備の漏水を早期に検知し、安全対策を強化します。
電源不要で低コストのため、広い範囲をカバーすることができます。

センサの用途例
- マンション共用部の浸水検知
- オフィスビルの雨漏り検知
- 商業施設の給水管や汚水管の水漏れ検知
- データセンターやサーバルームの冷却水の漏れ検知
インフラでの用途例

インフラでの用途例

河川の氾濫や交通インフラの冠水などをリアルタイムで検知し、被害を最小限に抑えます。
バッテリーレスで長期運用ができるため、メンテナンスを省力化することができます。

センサの用途例
- 河川の増水監視
- ため池の水位監視
- 交通インフラや共同溝の冠水検知
- 豪雨災害による公共施設の浸水検知
医療分野での用途例

医療分野での用途例

薬品や血液、尿などの突発的な漏れを検知し、早期対処を行うことができます。
薄型コンパクトで、医療機器の狭いスペースにも組み込みできます。

センサの用途例
- 透析装置内の漏液検知
- 抜針の際の漏血検知
- 薬剤運搬時の薬品漏れ検知
- 介護現場の排尿検知

既存設備のIoT化にも〈スマート農業の事例〉

既存設備のIoT化にも〈スマート農業の事例〉

バッテリーレス液体検知センサは、電源不要で設置も簡単なため、既存設備のIoT化にも最適です。
深刻な担い手不足によってIoTを活用した効率化が急がれている、農業分野での事例を紹介します。

これまでの稲作の課題

[課題]
これまでの稲作の課題

稲作では、田植えの時期に合わせて田んぼに水を張りますが、水が抜けてしまうと雑草が発生してしまったり、大雨などで冠水してしまうと収穫に悪影響を及ぼしてしまうため、水位管理が重要とされています。
しかし農地は遠隔地に分散していることも多く、人手不足のなかすべての水田の水位を監視するのは、農家にとって大きな負担となっていました。

水田の水位監視でスマート農業が実現

[解決]
水田の水位監視でスマート農業が実現

バッテリーレス液体検知センサを、高さ違いで複数設置することで、「満水」「標準水位」「渇水」など、水位に変化があった際にいち早く知らせることができます。
バッテリーレスで、遠く離れた農地でも電池交換の手間がなく、環境汚染の心配もありません。低コストで手軽に農業のスマート化を進めることができます。

漏水・漏液などの液体検知はお任せください

この記事では、電源不要のバッテリーレス液体検知センサについてご紹介しました。
藤倉コンポジットでは、バッテリーレス液体検知センサをはじめ、マグネシウム空気電池の技術を生かした製品開発を通じて、社会問題の解決に取り組んでいます。既存設備への後付けだけなく、貴社の設計開発に合わせたセンサのカスタマイズも可能です。
漏水・漏液などの液体検知でお困りでしたら、ぜひ一度、藤倉コンポジットまでご相談ください。

今回ご紹介した製品

バッテリーレス液体検知センサ

藤倉コンポジットのバッテリーレス液体検知センサは、電源がない場所でも手軽に使うことができる、自己発電タイプの液体検知センサです。

漏水・漏液でお困りの方へ