トップメッセージ
株主・投資家の皆さまへ
日頃は格別のご支援を賜りお礼申し上げます。
ここに当社グループ(当社及び連結子会社)の第145期(2023年4月1日〜2024年3月31日)の事業の概況と今後の取り組みについてご報告申し上げます。
第6次中期経営計画について
当社の売上高構成比で過半を占める産業用資材セグメントでは、自動車関連部品事業が引き続き重要な位置を占めています。世界各国の自動車産業の中でEV比率が10〜30%ほどに伸びていることから、その影響を踏まえて当社としても様々な対策を行っています。中でもEVのバッテリー発火時の延焼を防ぐ熱膨脹ゴム製品は好評をいただいており、今後さらに多くの車両メーカー様にもご利用いただくべく努力しています。
また昨年からシンガポールに本社を置くFu Yu Corporationとの業務提携を始めました。高精度プラスチックの射出成型品や金型の製造など、当社にはない技術を持つ企業なので、ともに特徴を活かしながらシナジーを高めていきたいと考えています。
今後の成長分野である医療分野の生産体制も強化しています。当社は日本初となる国産ワクチン製造に欠かせない部素材を生産するパートナーシップ「J-STAC」に参画しました。輸入に頼っている「無菌接続コネクタ」などの製品開発に注力し、原町工場(福島県南相馬市)での量産化に取り組む1年となります。
引布加工品セグメントでは「小型船舶用救命浮器」の開発に取り組みました。一昨年に発生した知床半島沖での海難事故の再発防止策として国交省が取り組む事業に参画したことで、海上での安全に貢献してまいります。
スポーツ用品セグメントではゴルフシャフト事業が好調でした。日本の女子ツアーと男子ツアーはもとより、世界の男子トップゴルファーが集うPGAツアーやマスターズでもトップシェアを取ることができました。今後も当社独自の製品をより高品質、高付加価値製品へと進化させ、シェアをキープすることで高い営業利益率を維持したいと考えています。
サステナビリティとガバナンスの取り組みについて
当社が得意とする複合化技術を通じて「くらし」「ものづくり」「エネルギー」「いのち」「レジャー」という5つの分野を支える事業を進めています。特に近年の地球温暖化や環境問題は非常に危機的で、持続可能な社会の実現に向けて全社員とともに取り組む必要があります。
昨年、管理本部内に「サステナビリティ統括室」を設置しましたが、これを今年の4月1日から社長直轄といたしました。2030年にはCO2を46%以上削減(2013年比)し、産業廃棄物を95%削減(2005年比)などの数値目標を掲げていますが、これを実現するためにしっかりした土台を作らなければいけません。3年程度の時間をかけて着実に実践していきます。
ガバナンスについては、監査等委員会設置会社への移行と任意の指名報酬諮問委員会の新設を実施しました。監査等委員からは既に多くの意見をいただき、改善点についての議論を深めています。また次世代の経営者を育てることも重要と考えているので、階層別研修の機会などを設け、次のリーダー育成のための戦略的投資も随時行っています。
最後に
PBR1倍達成に向けて、当社は「稼ぐ力の強化」と「新成長戦略」を進めています。
「稼ぐ力の強化」については印刷材料部門の撤退など、衰退期に入った製品群の見直しを図り、同時に成長分野へリソースを再配分することでDXや自動化技術、人的資本への十分な投資を行います。「新成長戦略」ではM&Aを含め、スタートアップ企業との連携や大学関係との技術コラボレーションなど新規分野への投資を行い、将来に向けた基礎研究の充実と体制強化を図っていきます。
今回、新株主還元方針として、株主資本配当率(DOE)4%以上を目安といたしました。1株あたりの年間配当額は45円を下限とし、中間と期末の年2回配当を行います。また500株以上を3年以上保有している方に対しては長期株主優待制度を新設します。
適切な情報開示とともに株主、投資家の皆様との対話を深め、信頼される会社となるべく努力してまいります。株主の皆様には引き続き、倍旧のご愛顧と、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
藤倉コンポジット株式会社
代表取締役社長執行役員